年々日本人の健康意識が高まる中、注目されているのは「かかりつけ薬剤師」の存在です。「体が資本」という言葉があるように、健康は何よりも大切なあなたの資産です。今回は「かかりつけ薬剤師」制度の概要から、その制度のメリットや料金体系までをわかりやすく解説していきます。その資産を守るための強力なパートナー、かかりつけ薬剤師について知り、あなたの健康管理の参考にしてみてください。
1.かかりつけ薬剤師制度の概要
私たちには普段あまりなじみのない言葉ですが、「かかりつけ薬剤師制度」とはどのような意味なのでしょうか。またその際に発生する費用についてもあわせて解説します。
1-1.かかりつけ薬剤師制度とその目的
かかりつけ薬剤師制度は、2016年の調剤報酬改定をきっかけに始まりました。厚生労働省が今後の地域医療を支える柱として位置付けている制度です。この制度は薬局や薬剤師がより地域密着で患者さんに関わり、患者さん主体の業務へ移行していくことを目指しています。
「かかりつけ薬剤師」とは、薬に関する知識だけでなく疾患や患者さんの健康管理、さらには介護問題もサポートできる専門知識と経験を持つ薬剤師のことです。またかかりつけ薬剤師が常駐し、処方薬や健康に関する相談ができる薬局のことを「かかりつけ薬局」と言います。患者さんにとって、自分が服用している薬の情報を把握し、健康相談のできるかかりつけ薬剤師がいることは、日々の暮らしにおける安心感を提供してくれるでしょう。
1-2.かかりつけ薬剤師の仕事の内容
かかりつけ薬剤師は、担当する患者さんが薬を服用するにあたり、服用前から服用後までの情報の一元管理を担っています。これにより複数の診療機関で処方された薬の飲み合わせによる、副作用リスクを指摘可能です。
また薬局の営業時間外や休日であっても、患者さんからの電話相談に応じることが求められます。つまり24時間体制で患者さんをサポートする必要があります。そして病院や介護施設だけでなく在宅医療を選択した患者さんにも、援助を提供するのがかかりつけ薬剤師です。
1-3.かかりつけ薬剤師制度を利用するには
それではかかりつけ薬剤師制度を利用するには、どうしたらよいのでしょうか。そのためには「かかりつけ薬局」で国の定めに準じた経験豊かな薬剤師を、1人指名する手続きが必要です。この契約はかかりつけ薬剤師を指名し、同意書に署名することで成立します。次回からその薬剤師が「かかりつけ薬剤師」としてあなたの担当となります。
2.かかりつけ薬剤師を指名するメリット
かかりつけ薬剤師の役割や仕事内容がわかったところで、あらためて「かかりつけ薬剤師」を指名するメリットについてみていきましょう。
2-1.継続的なサポートが受けられる
患者さんが他の医療施設や薬局で処方された薬や市販薬・サプリメント、そして健康食品などを一元管理するのが「かかりつけ薬剤師」の役割です。薬の重複や相互作用をチェックし、服薬時の注意点を的確にアドバイスしてくれます。また健康に関する一般的な相談にも乗ってもらえて、最新の医療情報の提供を受けられます。
2-2.体調の変化の確認と薬の調整
かかりつけ薬剤師は患者さんが来局した際に、過去の服薬履歴を含めて服薬後の経過を、継続的にチェックするのです。薬の効果や体調の変化を見守り、必要があれば医療機関に連絡しなければなりません。余った薬が多い場合には、次回の処方を調整し自宅での薬の確認・整理をサポートします。
また必要に応じて医師へ、薬の処方に関する提案可能です。ほかの医療機関との連携が整っていることも、安心感を提供してくれるでしょう。
2-3.いつでも相談できる
かかりつけ薬剤師を指名していれば、いつでも薬や健康に関する相談ができます。薬局の営業時間外でも、24時間体制でお薬に関する電話相談に応じてくれるのです。また在宅医療を選んだ時に継続してサポートを受けられるのも、大きな魅力となっています。
3.かかりつけ薬剤師利用時の料金
このように患者さんにとってすばらしいメリットのある「かかりつけ薬剤師」制度ですが、利用時に料金はかかるのでしょうか。気になる料金について詳しくみていきましょう。
3-1.かかりつけ薬剤師の料金体系
薬局でかかりつけ薬剤師を指名した場合、かかりつけ薬剤師指導料がかかります。これはより適切な服薬指導を推進するため、2016年の調剤報酬改定で新たに設けられた加算項目です。かかりつけ薬剤師の勤務時間は通常の薬剤師に比べて、長くなる可能性があります。そのために認められた経費がこの「かかりつけ薬剤師指導料」です。
通常の薬剤師の場合「薬剤服用歴管理料(38点つまり380円、または50点つまり500円)」がかかります。かかりつけ薬剤師のサービスを受ける場合には、この「薬剤服用歴管理料」に代わり、「かかりつけ薬剤師指導料(70点つまり700円)」が適用されます。そのため差額として200円から320円の負担増となるのです。
3-2.保険適用と自己負担額
物価高の折から薬を処方してもらうたびに、200円から300円もかかると聞いて、不安になる方もいるでしょう。しかし過度な心配は無用です。かかりつけ薬剤師制度には健康保険が適用されます。したがって薬局の窓口で実際に支払う費用の負担増は、以下の通りとなります。参考にしてみてください。
・ 1割負担の方の場合…20円〜30円
・ 2割負担の方の場合…40円〜60円
・ 3割負担の方の場合…60円〜100円
4.まとめ
今回は「かかりつけ薬剤師」制度の概要から制度を利用するメリット、料金体系までをわかりやすく解説してきました。人生100年時代を健康に楽しく生きていくためにも、この制度の趣旨を正しく理解し、活用を考えてみてください。
神奈川県藤沢市の湘南台にあります「有限会社湘南台薬品」では、経験豊かな「かかりつけ薬剤師」があなたのご来局をお待ちしています。薬の服用に関する疑問はもとより日々の健康管理で何か不安があれば、どうぞお気軽にご相談ください。